アダルト ボイス [萌えボイス]
 
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萌えボイス作成
 

声優名 星歌魅蘭 [声優詳細情報]
価格 2863円 文字数 13573文字
サイズ 27906.1 KB 公開日 2021年1月31日
声のタイプ 人妻(ヤンデレ、リアル) ファイル形式 zip
売れ行き
 この作品の販売回数 : 0回
タイプ アダルト作品
作品内容
 女性の切腹のお話です。

台詞
敗戦開城・北の方身代り切腹
宮坂 三郎
東北の秋がようやく深まろうとする頃、出羽の国の小城瀬田の砦が突然隣国の 倉田利正の軍に包囲され、城兵一丸となっての抵抗も空しく、落城は今や目前に 迫った。更に不幸なことに、城主瀬田雅兼は流れ矢に当った傷がもとで敢無く世 を去り、残るはまだ年若い北の方の志津と僅かな手兵だけとなったので、城内の 意見は降伏開城が大勢となった。これを知った敵将倉田利正は、かねてから絶世 の美女として噂の高い雅兼の北の方志津どのに執心していたので、使者を送って 志津どのが側室になることを条件に開城すれば、他の城兵一同は助命するという 条件の下に講和を申し出た。しかし気丈な志津どのはこの申し出をきっぱりと断 り、今は女ながらも一城の主ゆえ我が一命を以って家臣を救いたしと回答した。 弾正はやむなく、しからば城を開いて全員投降し、北の方は明日未の刻、当方の 設けた席で城主に代り切腹いたせば、家臣一同は助命する旨を申し送ったのに対 し、かねて覚悟の志津は言下に「望むところ」と答え、ここに城主の身代わりと して北の方の切腹という異例の和議が成立した。
当日、志津どのは沐浴して眉を剃らせ鉄漿(かね)をつけ、最後の化粧を整え て、あでやかな裲襠(うちかけ)姿の正装で城門を出ると、直ちに寄せ手の兵に 囲まれて敵の本陣となっている古刹上徳寺に迎え入れられ、別院の広間に控える 敵将利正の前に引出される。利正は噂に違わぬ北の方の美しさを見て不憫に思い つつも、一方ではこの美女がわれとわが腹かき切って呻き悶えるさまを思い浮か べて惨忍な欲情にかられ、声荒らげて、城主名代として家臣一同に代わり切腹、 ただし介錯はせず、亡骸は定法通り城下に磔晒しに処する旨を申し渡す。志津ど のは流石に頬を紅潮させながら従容として両手をつかえ一礼して「有難くお受け いたします。見事為遂げましたる上は家臣一同助命の儀よろしくお願い申し上げ まする」と答えて覚悟のほどを見せる。利正もこれを受け、されば直ちに支度を と別室に下がって、まず女どもの手で裲襠を脱がされ帯を解かれ、御召物から下 着まで脱がされて、絖(ぬめ)のような素肌に短い腰布一枚を低く着け、上には 木綿の白無垢一重に幅広の白の扱帯(しごき)をゆったりと締めた女の切腹装束、 髪は介錯なしとて束ねて長く背に垂らし、死に顔の見苦しくないようにと紅白粉 を濃い目に化粧し直して支度万端整えると、控えの間で心静かに時を待った。
「切腹人、出でませい」の声に応じて立ち上がり、導かれるまま庭に降り立っ て張り巡らせた陣幕の内に入ればそこは切腹の席。戦場のことゆえ新畳二枚の上 に白布団を敷き、八寸五分の腰刀の柄を外して切っ先三寸残し白布で巻いた腹切 り刀が置かれただけの簡素なしつらえ。正面の広縁の中央に利正、左右には主立 った武将の面々、いずれも希有の女城主の腹切りを見んものと、肩を張り胸とき めかせて居並んでいる。さわやかに晴れ渡った秋空の下、志津どのは臆する色も なくキッと面を挙げて、足どりも確かに切腹の座に就く。今年二十五歳の女盛り。 五尺二寸あまりのすらりとした背丈に程よく肉置き(ししおき)した容姿は、長 い籠城の辛酸にさすがに面やつれは見えるものの、それが天性の美貌にかえって 凄艶さを加えて、武骨一辺の荒武者たちも思わず息を呑む。
一同の刺すような視線を受けながら、すっと背筋を伸ばし胸を張り、両手を膝 に長い睫毛を伏せて呼吸を整える志津どのの両頬から胸元にかけて桜色に上気 して、小なりといえども一城の主の北の方の気品と艶色があたりを払い、利正以 下の面々、今更ながらこの烈女の死を悼む心とともに、寸刻の後に展開される切 腹の凄艶な光景を思い浮かべて、早くも男心を昂ぶらせながら身じろぎもせずに 見守っている。
頃はよしと利正が目配せすると、これを受けた武将の一人が高声に「さればお 心静かに御生害なされよ」と告げる。志津どのは大きくうなずき、軽く三つ指突 いて一礼すると、やおら扱帯を緩めてぐいと押し下げ、両腕を袖口にくぐらせて するりと双肌を脱ぐ。白く滑らかな肩から形良く張り出した乳房、その脇にはみ 出している豊かな黒い腋毛から、くびれた細腰のあたりまで、女盛りの色気を見 せて衆目の前に曝される。ほーっと声なき声が場内に流れるのを、志津どのは端 正な頬に不敵な笑みを浮かべながら、腰布の紐を解いて扱帯もろとも広く張った 腰骨まで押し下げ、ふくよかな下腹を臆することなく露わにした。
女といえども城主名代としての切腹。雪のような上半身を作法どおり肌も露わ におし脱ぎ、いざ掻き切らんと充分に剥き出した腹は、深く形よい臍のくぼみを 囲んで餅のようにふっくらと盛り上がり、その下腹の丸みの尽きんとするあたり には押し下げた腰布の上に黒々とした恥毛がちらと覗き、両腋窩の豊かな繁みと ともに雪白の肌と鮮烈な対照を見せて艶めかしい。
当時の奥羽地方では、武士の一族は女子供に至るまで自害は切腹が通例であり、 その方法にも後世のような形式的な作法はなく、男も女もただ腹を存分に切り開 き、臓腑を露出して己の真情を示して果てるのが真の切腹とされており、その際 にどのような声を上げて長時間呻き悶えようとも見苦しいとは言われず、かえって壮絶な切腹よと賞賛された。従って切りようもさまざまで、通常はまず充分に 剥き出した下腹の左腰骨のきわに刀を突き刺して、臍の下一寸五分から二寸、ち ょうど腹の一番広いあたりを横切って右脇腹まで真一文字にかき切り、一呼吸し て刀を抜き、刃を下向けに持ち替えて水落ちに刺し、腹の中心線を縦に横骨に当 るまで切り下げて十文字にする。この時、刃を上に向けて恥部から鳩尾へ切り上 げるのを逆十文字と言う。いずれの場合も上腹部は浅く、臍の辺りより下は充分 に深く切り裂くのを口伝とする。また左脇腹を肋から縦に三寸切り下げ、刃を捻 って右腹まで引き回し、再び刃を捻って右肋まで切り上げるのを鈎十文字と呼ぶ。 いずれの場合も切口は大きく開いて血潮と臓腑が溢出し、そのままでも間もなく 絶命するが、なお気力体力の残っている者は、死を早めるためと武勇を誇示する ために、溢れる腸を掴んで繰り出したり、更に二文字、三文字に掻き切ったり、 あるいは脇差で腹から背まで貫いたり、引き出した臓腑を切断して心の丈を示す など、おもうままに腹を屠って最期を飾ったのである。されば志津どのも、女な がらまず作法どおり充分に腹をあらわして覚悟を見せたその姿に、居並ぶ一同は、 さてどのように腹をなさるのか、女でも満座の中で城主名代としての切腹ゆえ、 少なくとも十文字に切り臓腑を出さねばならず、それでも死にきれぬときは最後 のとどめはどのようになさるのかと、あれこれ思いめぐらしながら息を呑み身を こわばらせ、志津どのの一挙一動にぎらぎらと眼を光らせている。
その男たちの突き刺すような視線を受けながら、志津どのは少しも動ずる気配 もなく、どうせ数刻後には屍となって、戦いの定法通り素裸で大の字に磔けられ 群衆の前に曝されるこの身、生あるうちに女の色香を存分にごらんあれとばかり に、眼を伏せ胸を張り、両手を腰に当てて上半身を反らせる、その桜色の頬と濃 いめに紅をさした口許には妖艶な微笑が漂っている。
やがて意を決したように眼を開くと、右手を伸ばして膝前の腹切り刀の中巻き をぐいと逆手に掴んで右腿の上に置き、左の掌を下腹に当てて、切るべきあたり をゆっくりと撫で回す。唇が動いた。 「では腹つかまつりまする。城主として、かつ亡き夫の身代りとして作法通り存 分にいたしますゆえ、何とぞ最後まで御見届け下さいませ。なお見事切りとげし 上は城内一同助命のこと、重ねてお願い奉りまする。されば御免」
これから腹切る者とは思われぬ落ち着いた声に、見守る者たちのほうが気押さ れて思わず視線をそらす。その中で目を半眼に閉じ、気力を昂めるべく腹おし撫 でている志津どのの左掌の動きが次第に速くなり、それにつれて頚筋から胸の谷 間にかけて白い肌が次第に艶めかしく桜色に染まってくる。軽く開いた唇からもれる呼吸が次第に荒くなり、それと共に乳房が波打って先端の乳首が固く突き立 ってくるのが分かる。居並ぶ男たちも息を荒らげ、早くも袴の下で男根を勃起さ せている者もいる。
充分に気を昂めた志津どのは、やおら腰を浮かせて膝立ちとなり、白無垢の裾 が開いて雪のような内腿の肌が露わになるのも意に介せず、両腿を大きく割って 膝頭にしかと力を込めながら、ぐっと身を起こし腹をせり出すようになさると、 視線を伏せて自分の腹を見ながら、左の腰骨の際に当てた掌の指の間に右逆手の 腹切り刀の切っ先をぴたりと当てた。いよいよ切腹、と見たとき、再び志津どの の声が静まり返った場内に流れた。 「女のことゆえ、万が一にも腹切り損じぬために家伝の重ね切りを仕りますれば、 とくと御覧の上、後日の語り草となされませ。いざっ」
右腕にぐっと力がこもったと見えた時、三寸余り巻き残した腹切り刀の切っ先 は瓜を割るようにざくりと左脇腹に切り込んだ。うっ、と低い声が洩れたのは苦 痛の呻きではなく力を込めた気合であったのであろう、志津どのの姿勢も表情も びくりとも動かなかった。刃の光は一寸ほど腹中に没している。二度切りという からには最初は広く浅く充分に切り回すつもりか、その顔には少しも苦痛の色は 無く、口許には快げな微笑さえ浮かんでいる。
志津どのは上体を反らせた姿勢のまま、左手も白布に握り添えると、刃を腹に 垂直に立て、一寸ほどの深さを保ったままきりきりと一気に右に引き回した。艶 やかな下腹の肌が横一文字に切り裂かれ、だらだらと流れ出した鮮血が簾のよう に右下腹を伝い流れて白無垢に吸い込まれてゆく。
刃は臍の下二寸ばかりの最も豊かなあたりで、深く形良い臍から股間へ走る薄 黒い正中線をぷっつり断ち切り右腹へ切り込んだ。いかに深さ一寸足らずの浅腹 とはいえ、苦痛の無いはずはない。しかし志津どのの姿勢にも表情にも最初から いささかの乱れもなく、きっと見開いた眼と、やや緩んだ唇の間から見える鉄漿 をつけた前歯が妖しい色気を見せている。女は一旦覚悟を決めれば、これほどま でに気丈なものであろうか。それとも、女の身で一命を捨てて城兵一同を救うと 言う大役を果たす喜びに苦痛など感じていないのか。利正はじめ居並ぶ男ども一 同、水落ちが締め付けられるような感じに身を強張らせている。
左の腰骨から右の脇腹まで、ふっくりと張り出した女腹を一尺近くも切りまわ した志津どのは、刃先を右腹に留めたまま左手を離して左脇腹に当て、真一文字 の切口を誇示するように背筋を伸ばし胸を張った。心なしか頬はやや蒼ざめてい るが、半眼に閉じた目元とやや開いた唇には、恍惚とした陶酔さえ浮かんでいるようである。腹の切口は上下に捲れるように五分ほど開いて、その間から黄色い 脂肪がはみ出している。鮮血は依然として切口全面から糸を引いて流れ落ち、太 腿の付根の溝を伝って股間へと流れ込んでいる。そして――志津どのの正面の床 机に掛けている利正と、その左右に並んでいる数人の武者たちは確かに見た。豊 かな胸の乳首が先ほどより更に固く突き立ち、乱れた裾から覗く内腿の肌を伝っ て一筋二筋、透明に光る液汁がつーっと流れ落ちるのを...。それは明らかに志津 どのの股間から溢れ出ている快美の泉の滴りであった。女は腹を裂く苦痛を自虐 の恍惚に転化させることができるのか。この凛とした美女の心中に今どのような 淫らな情感が駆け巡っているのであろうか。男たちは情欲より戦慄が背筋を走る のを覚えた。
眼を閉じたまま、しばしその姿勢で一呼吸二呼吸した志津どのは、やおら眼を 開くと右腹の腹切り刀をすっと抜き取り、再び刃を左に回して左手も中巻きに握 りそえ、うつむいて腹の切口を見ながら、一寸ほど血に染まっている切っ先を左 脇腹の切口の左端に当てると、ためらうことなくずぶと突っ込んだ。既に半ばま で切り裂かれている腹の脂肉はたやすく刃を受け入れて、巻き残した切っ先三寸 は余すところなく腹中に没し、中巻きを握る拳が切口に触れている。
むっ、低く呻いて志津どのは面を挙げた。その顔からはさすがに先ほどまでの 微笑は消え、眼を閉じ、唇をきりりと結んだ凄艶な表情に変っているが、未だ苦 痛の色は見えず、昂然と胸を張った姿勢もそのままで、浅いながらも下腹を真一 文字に走る切口から流れ続ける血潮が信じられないくらいである。
一呼吸した志津どのは、腹切り刀の中巻きを握る両腕に力を込めると、刃を最 初の切口に沿って、捲れ出ている脂肪の間に覗く腹肉を、ぶりぶりと右へ引き回 し始めた。時々びくりと体が震え、青く剃った眉の間にかすかな縦皺が寄るのは 切っ先が臓腑に触れたときか。さもあろう。最初の切り回しと合せれば四寸近い 深腹である。しかし志津どのの姿勢は端然として乱れない。小なりとはいえさす が一城の城主の北の方と、見入る一同、手に汗を握って感嘆した。
よどみなく重ね切りに腹を割いてゆく志津どのは、臍の左下で一旦刃を止めて 一呼吸なさった。雪白の左下腹を深々と割いた切口は弾けるように開いて菜種色 の脂肪と真っ赤な肉を見せ、その間から泉のように流れ続ける鮮血と共に桃色の 小腸がひくひくと出入りしている。しかし志津どのは、顔色こそやや蒼ざめ、額 は玉のような汗が噴き出て御苦痛のほどを示してはいるものの、依然として端然 たるお姿を崩さぬまま、再度両腕に力を込めると、ぐいと一気に臍から下へほの 黒く走る正中線を断ち切って右腹へと切り込んだ。
再び気を取り直し、きっと姿を正された志津どのは、刃を握る両腕に力を込め 直し、おうっと気合もろとも体を捻るようにして、残る右腹をぶりぶりっと一気 に、腰骨に達するまで掻き切ってしまわれた。そして切り開かれた一尺近い傷口 からどっと溢れ出す鮮血と腸をものともせず、ぐいと右腹から引き抜いた刃を、 息も継がず水落ちにぶっつり突き立て、左手を刀背に掛け、かっと見開いた視線 を宙に向け、くーっと呻きながら刃にのしかかるように力の限り押し下げた。刃 は正中線に沿って臍を割り、横一文字の切口と交わり、はみ出しかけている腸も ろとも下腹を深々と両断して恥毛の繁みまで切り込んで横骨で止まった。さすが 城主の北の方、女ながらも見事な十文字腹に、見守る一同の口から期せずしてお おという嘆声が漏れる。
これまで膝立ちの姿勢を崩さず腹を切り続けてきた志津どのであったが、さす がにここで腰をがくりと落して前かがみになり、しばらく顔を伏せ肩を波打たせ て荒い息をついておられたが、やがて血まみれの左手を膝に突き、じりじりと身 を起こしていった。そして下腹から短刀を引き抜いた右手をも膝に置き、両手で 上半身を支えて再び正面に向き直り姿勢を正されると、お腹の凄惨な切口が皆の 前に露わに曝された。再び場内におーっと声にならない呻きが湧いた。
先程まで絖のように白く滑らかだった志津どののお腹は、重ね切りの深腹に加 えて臍下を縦に割った十文字の切口が大輪の牡丹のように開き、泉のように湧き 出る血潮と共に桜色の小腸が一塊となって溢れ出て両腿の間を埋め、ぬめぬめと 蠕動している。さらに臍の辺りからは、これがあのお美しい腹中にあったのかと は思われぬような、腕ほどもある太い黄褐色の大腸がむくりと膨れ出し、呼吸につれて次第にその妖しい姿を現わしてくる。流れる鮮血は腰から下の白無垢も太 腿も蘇芳(すおう)色に染め、さらに白布団の上にじわじわと広がってゆく。
その酸鼻な下半身とは対照的に、昂ぶりに固く突き立った乳房から上は血しぶ き一つ見えぬ雪の肌が、滲み出る冷汗にまみれてさらに透き通るように白く、首 筋から胸にかけて乱れたおくれ毛が数本べっとりと貼り付き、凄艶なお姿である が、もはや苦痛の頂上は過ぎたのであろうか、それとも作法どおりに見事腹十文 字に切り遂げて心安らがれたのか、先程の凄まじいお顔とは打って変わり、うっ とりと半眼に目を閉じた表情には恍惚とした微笑さえ浮かんでいるように見え る。それは女の切腹美の極みであった。
「城主の...せっぷく...いかが...」 低いが、しかし腹切った者とは思われぬ確かな声音であった。
「お見事、確かに見届け申した」 利正が唸るように叫んだ。その声が耳に届いたのであろう。志津どのの頬に明
らかな笑みが浮かび、見守る一同の背筋に冷たいものが走った。 「では...引き...出...物を...い、いざ...」
さすがに呼吸が苦しいらしく、一語一語しぼり出すように言うと、短刀を握っ た右手を膝についたまま、血まみれの左手を下腹の切口にずぶと挿し入れ、腹中 に残る腸塊を掴むと「うぐっ...ぐぐぐ...」と呻きながらずるずると引き出した。 そして切口から抜き出した左手で握っている小腸の付根に、右手の短刀の刃を下 から掬い上げるようにあてがうと、
「うっ...あうっ...う、うーっ!」 一期の絶叫と共に、ぶつぶつと断ち切った。しかし流石に弱った腕の力では銘
刀の切れ味をもってしても、ぬめぬめと滑らかな生きわたを一気に切断すること はできなかったが、それでも大半は主と切り離されてずるずると前に滑り出し、 先に股間を満たしていた臓腑と合体して、あたかも新たな生を得た生きもののよ うに一塊となってぞろぞろと白布団の上を這い、志津どのの膝の前にうずたかく 積もって白い湯気を立てながらむくむくと蠕動している。それはあの形よく引き 締まった志津どのの腹中に収められていたとは信じられぬほど大量で、一城の主 の開城の引出物にふさわしく、つやつやと妖しく美しく光っていた。
腹筋を断ち、腹中の臓腑を失った志津どのには、もはやその上半身を支える力 が残っていなかった。ぐらりと体がゆらぐと、腹から離した両手をどさりと膝前 に突いて、あたかも一同に辞儀をするように頭を垂れた。その右手には中巻きま で血に染まった短刀が、まだしっかと握られていた。そしてその頭のすぐ前の布団の上には、今の今まで志津どのの腹中にあった臓腑が、うずたかく盛り上がっ てうごめいている。
声も無く見守る一同、その視線の集注の中で、志津どのがゆっくりと頭を挙げ たが、そのお顔は先程までとすっかり変っていた。透き通るような蒼白な額に眉 の剃り跡が一段と青く、薄く刷かれた頬紅と、入念にほどこされた鉄漿の黒さと その周囲にくっきりと引かれた口紅の赤が、この世のものならぬ妖艶さで人々の 眼に焼きついた。
先程から男根を勃起させて見守っていた者たちは、たまりかねて褌中にしたた かに精をほとばしらせていた。
その中で志津どのの唇が、ゆっくりと動いた。 「引き出物......お収めを......」
一言ずつ切れ切れに、しかし最後まで明瞭な言葉で述べ終わると、志津どのは 力尽きたように再びがっくりと首を垂れた。膝前に突いた両腕の露わな肩が、は っ、はっ、と大きく上下しているのが、一息、一息の苦しさを示していて、見る 者の胸を締め付ける。 「お見事、引き出物たしかに見届けた。それ高井、松野、用意をいたせ」
利正に指名された両人、さっと立つと摺り足の小走りで幕外に姿を消す。選ば れた二人ゆえ、手抜かりなく最短時間で用意を整えて戻ってくるであろうが、そ れまでの場内は咳(しわぶき)一つするものなく静まり返り、聞こえるものは梢 を渡る風の音と、志津どのの荒い息づきと、時折洩らすうーむという悲痛な呻き 声だけであった。前に垂れた志津どのの頭は徐々に下がってゆき、そのたびに懸 命に両腕の力を込め直して崩れ伏すのをこらえようとする健気なお姿は、お顔が 見えぬだけ一層痛ましく、一瞬が一刻ほどの長さに思われるほどである。
秋の陽はようやく西に傾き、涼やかな風がわたってきたが、ここ幕の内の腹切 場には誰一人それに気づく者もないようであった。
その時、何の前触れもなく幕がさっと開き、高井、松野の両人が小走りに入っ てきた。いずれも白鉢巻、白襷をきりりと締め、腰には高井は脇差一本、松野は 短刀一口を右手差(めてざし)にして径一尺余りの白磁の壷を抱えている。ほう っという安堵に似た溜息が場内一同の口から洩れた。
高井はそのまま志津どのの背後に回り、膝をついて両腕を志津どのの脇に差し 入れて「引き出物、たしかに頂戴仕る」と声をかけながらぐっと抱き起こした。 既に気力だけで支えられていた志津どのの上半身は、背を高井の胸にあずけるよ うに軽々と抱き上げられ、さらに高井が両腕を乳房の下に回して抱き上げるように体を反らせると、紅蓮華(べにれんげ)のように四方に開き、臓腑を引き出さ れてほとんど空洞となった無惨なお腹の有様が余すところなく一同の前にさら された。志津どのは、もはや死相の明らかなお顔の唇をかすかに動かして何か呟 かれたようであったが言葉にならなかった。そして仰向けに高井の右肩に頭を落 とすとぐったりとなった。烈女の凄艶な知死期であった。
その間に松野は志津どのの前ににじり寄り、壷を据えるとうずたかく積まれた 腸を手際よく両手で掬い上げて壷に落とし込んだ。血まみれの腸は、まだむくむ くとうごめきながら、ずるずると壷の中に滑り込んだが、まだ二三箇所の腸管が 切れ残ってお腹の切口の中に続いている。松野はためらわず血みどろの白布団の 上に膝を進めて志津どのの前ににじり寄り、右手差しを抜いて、お腹から壷へと 続いている腸管をぶつぶつと切り離すと、あたりに散らばっている臓腑の断片と ともに残らず壷の中に収め蓋を閉じた。そしてその場に平伏し、まず志津どのに、 続いて利正公に「お引き出物、確かに頂戴仕りました」と声高に言上した。その 間に高井は志津どのの体を抱えていた両腕で静かに志津どのの上半身を右脇下 に横たえ「御無礼仕りました。いざお心静かに御成仏を」と丁重に一礼して退い た。まことに見事な振舞いであり、その手際の鮮やかさに利正公以下感嘆せざる 者なく、戦後の論功行賞で両人ともそれぞれ五百石の御加増にあずかったときも 当然のことと皆納得した。
引き出物受領を見届けて利正が席を立ち、続いて一同が粛然と退席すると、代 わって老女の袖萩がひきいる女たちが入ってきた。志津どのの亡骸を清め、当時 の掟通り晒しにかけるための準備である。女たちが戦いのあとで敗軍の敵将の首 級を洗い清め、首化粧を施すのは常のことであるが、切腹した女体を扱うのは稀 なことであり、女らの顔は心なしか異様な緊張と好奇心に引きつっていた。
今しがた息を引き取ったばかりの志津どのの体はまだ柔らかく、温かみさえ残 っていた。袖萩が念のため懐中から取り出した手鏡を志津どのの鼻下にあてがっ て曇りのないことを確かめ、まず女たちが数人がかりで用意の戸板の上に御体を 仰向けに横たえ、血に染んだ白無垢をお脱がせ申す。このように諸肌脱がれてい る場合は、男女を問わず、まずおくみの合わせ目の下端のところで、腰骨低く締 めている扱帯を刃で断ち切り、そこから扱帯ごと左右に広げた白無垢を、お体を 浮かせるようにして下へ引き抜くのが口伝とされている。男の下帯、女の腰布も 紐を切って同じように脱がせるのである。戦陣に従う女たちの上に立つ老女は多 くの経歴を積み、このような場合の処置も充分に心得ている者が選ばれていた。
さて、こうして全裸にされ仰向けに横たわった志津どのの亡骸は、型の如く下半身から清拭が始められた。盥の湯を何度も取換え、布をすすぎながら血糊を拭 き取ってゆくにつれて露わになってゆく志津どのの雪白のお肌の染み一つない 美しさに、一同改めて息を呑んだ。血と尿に濡れそぼった内股の柔肌から、切腹 中の昂ぶりのために流れ出た乳色の淫液にまみれている恥毛を丁寧に拭い、さら に形よい割れ目を押し開いて丹穴の奥まで丁寧に清め参らせると、桜桃のような 形よいさねたれがまだ固く突き立って志津どのの女の名残を止めているのが、女 たちの目にも艶めかしく映った。 「女の切腹は、苦しき中にもまたえも言われぬ快さありと聞きましたが、まこと のようですの」と、一人が隣の女に耳打ちして頬を染めた。
さていよいよお腹の傷口を清めにかかる。切口は左の腰骨から臍の二寸ほど下 を右の腰骨に当るまで約八寸、縦は水落ちから正中線に沿って縦長のお臍を割り、 恥丘を埋めた漆黒の草叢の上縁に切り込んで横骨まで達していた。日頃武芸の稽 古にいそしんでおられたせいか腹はさほど脂づいてはおられず、しかも二度切り をなされたので、厚さ二寸ほどの腹壁はほとんど全面に渡って完全に切り裂かれ ていた。腹腔内は肝、胃、腎、子袋、膀胱、それに大小腸の一部などを残してほ とんど空洞であった。
女どもがざっとお腹の外側を拭き清めている間に、袖萩は用意してあった真綿 を直径一寸ほどにくるくると長く巻き、自分は襷をかけて二の腕まで袖を捲り、 「初めての者は皆よく見ておきなさい。わたを出されたあとの始末はこのように いたすのですぞ」
そう言いながら片手で十文字の切口を開き、片手で真綿を腹腔内の右乳下のほ うから手際よく、あたかも生前の腸管のようにくねらせながら詰め込んでゆく。 若い女らは手を休め息を呑んで、真剣な視線を袖萩の手許に集めていた。 「そなたらのうち、切腹なされた方の腹中を見たことがある者はおるか。雪、そ なたはどうぢゃ」
呼ばれたやや年長の女が答えた。 「はい、おはらわたが出るほどに切腹なされた殿方のお亡骸(なきがら)のお始 末を手がけたことは五度ほどございますが、うちお二人は十文字に切られ、切口 からふとわた、ほそわたがたんと出ておられまして、それが生前にどのように腹 中に収まっていたかを知らぬものでございますから、おはらわたを切口から腹中 に戻すのが手際ようゆかず、無理に押し込んで傷口を白布で巻き上げ、なんとか 外見を繕うたこしも多く、今にして思えば冷汗ものでございました。一文字の御 切腹の場合でも同じで、かえって切口が狭いだけ、やりにくいこともしばしばございました」
「なるほど、寿美はどうぢゃ」 「わたくしも雪さまと同じようなものでございます。ただ女人の方の切腹なされ た御遺骸を始末いたすのは今日が初めてでございます」 「はは、そうであろう。男女を問わず、生前おはらわたがどのように腹中に収ま っていたかを偲ばせる御切腹の後始末にはなかなかゆき当らぬもので、わらわの 場合は、たまたま捕らわれた敵将が家来の介錯で切腹を申し出て望みどおり許さ れ、当方の陣内の中庭で従容として切腹の座に着き、脇差でまず腹一文字に掻き 切り、返す刃を水落ちから一気に下帯まで切り下げたとき、後ろから家来が見事 に一刀で首を打ち落とした。その亡骸を敵方に送り返す前に一応お繕いした女た ちの中にわらわもおったが、介錯が手際よく、十文字の切口からおはらわたが溢 れ出す寸前に御首を打ったため、お腹の傷痕を縫い合わせる前に女ら一同、好奇 の心からひそかに顔見合わせ、四つに割れて開いている切口の厚い皮肉に手をか け四方にめくり上げて、腹中の臓腑の模様をつぶさに拝見仕った」 「まあ、それでは腑分け同然のことをなさったので...」 「いかにも。その有様は仲間の女たちのうちに絵をよくする者がおり、記憶の薄 れぬうちに画きとどめたものを、あとで一同が回覧したので記憶はいまだに新た ぢゃが、これまでの漢医書の図とはかなり異なり、まず鳩尾の胃の腑に続く長い 小腸が、臍の右あたりから起こって腹中一面を埋め尽くし、更に右下腹から太く くびれた大腸に移行して、小腸をとりかこむように門の字形に走っている模様が よく判った。御切腹直後のこととて臓腑はまだ生前のままに艶々と美しく、腸の 一部は長虫のようにゆっくりとうごめいており、それを見ながら自分の腹中もこ のようになっておるのかと、みずからの腹を押さえて妖しげな心地になったこと を未だに忘れぬ。今わらわの脳裏には、その時の記憶がまざまざとよみがえり、 その記憶のままに手を動かしておるのぢゃ。まして女の場合は、わらわもこれが 初めて、皆のものもめったになき機会ゆえ、心してつぶさに見ておくがよい」
語り聞かせつつ袖萩は手を休めず、手渡される真綿を管状に丸めて丁寧に志津 どのの腹中を埋めてゆく。若い腰元女中らは真剣な顔をして覗き込んでいる。 「老女様、この真綿はどれほど用意すればよいものでございましょうか」 「そうぢゃの、最初に腹中の右上に置く胃の腑の大きさが三合入りの瓢箪ほど、 それにつづく小腸には、竹竿ほどの太さに丸めたものが約十五尺、これでほとん ど腹中を満たすよう平均にぎっしりと詰め込み、さらに太く節くれだった径一寸 五分ほどの大腸が、右腹の下から始まって壁沿いに右脇腹を天井まで上がり、それから胃の腑の前を左へ横切って、あとは左脇腹の後ろ側を下って菊座まで約四 尺、それが大体のめやすぢゃ。しかし同じ量の綿を使っても、ただ闇雲に詰めて は偏りができ、後で腹の皮肉を縫い合わせた後、何とのう見た目が悪い。あとで 隠れてしまうところほど入念に行なっておかねばならぬのは何事も同じぢゃ。で はこれからお腹を閉じるぞ、これにも要領がある。よく見ていや」
老女は太い縫針に丈夫な木綿糸を通して、まず横一文字の切口の右端の内壁、 内臓に接するところの腹膜と筋肉を、上下あわせるように縫い始めた。 「切腹に限らぬことぢゃが、なべて腹の傷の切口は、横の切口はおのずと上下に 大きく開くが、縦の切口はかなり長くても左右には余り開かぬもの。それゆえ傷 口を縫い合わせようとするときは、横の傷口は丹念に、できれば内側と外側とを それぞれにしっかりと縫い合わせねばならぬが、縦の切口は皮を軽く縫い合わせ ただけでも済むものぢゃ。このように...」
言いながら右腹の切口の内側を中央まで縫い終った袖萩は、女中二人に手伝わ せて縦の切口を左右から合わせるようにさせながら、右腹を縫い終わった糸と針 でそのまま左腹の切口の内側を、同じように縫い合わせていった。そして傷口の 左端一寸ほど、まだ切先が腹中に届いておらぬところまで縫い合わせると糸を切 り針を抜いた。 「こうしてしっかりと下縫いをしておけば、あとは楽なもの、太目の絹糸で表面 の腹皮を先ず横の傷口、最後に縦の傷口を上から下までひと続きに縫い上げれば 仕上がりぢゃ。雪、あとはそなたにまかせるゆえ、女らに手伝わせて按排(あん ばい)よう致せ。その間に他の者はもう一度お体を清め申し、死に化粧も念入り にして差し上げよ。聞くところでは明朝まで、このままのお姿にて城門前の広場 に架けられるということぢゃからのう」
そう告げると袖萩は立ち上がって、腹切り場の一隅に置かれていた床机に腰を 下ろし、仰向けに横たわる白蝋のような志津の方の裸身が、かいがいしく立ち働 く女たちによって次第に生前の美しさを蘇らせてゆくさまを、無表情にじっと見 守っていた。
その夕刻、つるべ落としの秋の陽がようやく西の山なみに近づく頃、前城主瀬 田雅兼の北の方志津の亡骸を縛した磔柱が、城門前の広場の一角に立てられた。 その左右には明々と篝火が焚かれ、それを背後にいかめしい鎧姿の警護の武士が 一人ずつ、交代で床机に座っていた。既に噂を聞き伝えた城下の住民が、先日ま での殿様の奥方様だった方が城兵助命のため切腹なさった、その最期のお姿を拝見しようと詰めかけて、警護の武士に余り近づかぬよう叱咤されながら、黒山と なって息を呑んで凝視していた。
志津の方の亡骸は、キの字形の柱に両腕両脚を広げた大の字なりの姿で縛り付 けられていた。雪のように白い裸身は、肩から乳下にかけて襷縄(たすきなわ) で、両腕の付根を黒々とした腋毛も露わに高縄で、手首を小縄で、また細腰を胴 縄で、それぞれ固く柱と横木に縛り付けられ、また柱から突き出た三寸角の馬乗 台にまたがらされた股間から、左右のすらりと伸びた両脚を八の字なりに開いて それぞれの足首を足縄で横木に縛られており、あらがう力なき屍のこととて、い ずれの縄も肌に食い込むほど固くいましめられているのが痛々しく見えた。そし てむき出しの腹には、縫い合わされてはいるものの生々しい傷跡が、臍の二寸ほ ど下の一番ふくよかなあたりを横一文字に八寸余り、更に水落ちから臍を割って 横の切口と交わり、下腹を割って濃い恥毛の繁みに切り込むまで切り下げられた 見事な十文字腹の痕を見せていた。このような美しくたおやかな奥方様が、この ような見事な割腹をなさったとは...と、見るものたちはいずれも息を呑んだが、 さらに柱の下に置かれた白磁の壷に「献物、志津殿臓腑」と墨痕鮮やかに記され ているのを見て、ほとんど目の眩むような衝撃を受けた。眼を据えたまま黙然と 動かぬ男たち、地面に座り込んで合掌嗚咽する女たち。次第に濃くなる夕闇の中 で、篝火の明かりに浮かび上がった志津の方の紅鉄漿(べにかね)を施された美 しい死に顔が、がっくりと頭を垂れ、未だ去りやらぬ群衆を見下ろしているのが、 中秋の夜の冷気に身震いするほど凄艶であった。
磔柱の傍らには一本の高札が立てられ、それには次のように記されていた。 「瀬田開城に当り城兵一同助命のため前城主瀬田雅兼に代り自尽せし雅兼妻志 津の遺骸を此処に架し万民に示すもの也
倉田武太夫利正」
篝火は明々と朝まで燃え盛り、倉田方の屈強な武士が交代で厳しい警備に当っ ていた。そして集った群衆が次第に数を減じていった後にも、明かりと闇の境の 辺りに、助命されていずれかに落ちてゆく城兵とその家族であろうか、長いこと 平伏したまま面を挙げない黒い影が夜の白むまで絶えなかった。
(終り)


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